高橋智仁

Q. 企業理念はいつ、どのようにできたのですか?

企業理念は、私が代表に就任する直前の2013年3月に、社員10名と二日間の合宿をして創りました。 皆が心ひとつにして仕事をするには、まず企業理念があった方が善いと感じたのと、それも独りで創ってもお互いの納得感が無いのは当然で、絵に描いた餅のような企業理念も掲げたくない。とにかく社員みんなで考えて創りたかったんです。

企業理念
『人の幸せに貢献することが私たちの使命です』

この理念の『人』にはいろいろな意味が含まれています。 弊社には営業職も居れば、会社を守ってくれる事務職の人もいます。また、パソコンスクールの講師もいます。様々な職制の人がいる中で、それぞれのよかれ…で仕事をするのではなく、心ひとつにして仕事をしたいとの思いから、全員が納得感ある企業理念を創ろうと話し合いました。
また、私たちはどの職制でも求職者と関わることが多いこともあり、求職者や派遣スタッフの幸せを…と考えるのですが、果たしてそれだけなのかとの意見も出ました。目の前の派遣スタッフのために…はわかるけど、私たちにはお客様である企業(クライアント)がいて、はじめて仕事が成り立ちます。「企業は人なり」と言いますが、求人を出されているクライアントもやっぱり『人』なんです。では、私たちがその派遣スタッフやクライアントに与え尽くせたら、それで満足なのか?と言えばそうではないと。忘れちゃいけないのは、私たち自身も大切な『人』であること。
この時、近江商人の「三方善し」の意味と重要性を改めて感じ、理念でいう『人』とは「派遣スタッフ」と「企業」と「私たち社員」が含まれた『人』であるというのを、みんなで再認識してこの理念ができました。

Q. 企業理念があって良かったと感じた時は?

企業理念を策定した当時は、拠点は本社のみで社員10名だったんですが、少しずつ拠点も増え、中途採用・新卒採用で社員が増えてきました。社員が増えてくると、企業理念を一緒に考えて創ったメンバーもいれば、入社した時には、理念は既に在ったメンバーもいます。新旧のメンバーが融合する時にもこの企業理念は凄く役に立っていて、会社が大切にしている想いが見える形(理念)となっているから、社歴に関係なく大切にしている点を擦り合わせしやすいようです。特にうちに入社してきた人の共通点は、事業の将来性に興味を持ったのではなく、理念や社員の顔ぶれに興味、関心を持って入ってきてくれた人が多いのも理念が良かったと感じるところですね。

Q. 目指している会社像と今後の展開は?

社員全員にスポットライトが当たる会社にしたいですね。会社の業績に直接影響する営業などは比較的スポットライトが当たりやすいと思いますが、内勤者などの間接部門の人たちも含めて、社員全員が活躍できるフィールドを創りたいですね。私自身もサラリーマン時代に感じたことですが、自分自身の存在感だったり働く意義を感じられないと、無力さを感じて自身のことを否定的に見たことがあります。そうなると、本来仲間であるはずの周りの社員と比較したり、短所ばかりが目につくようになり、勝ち負けのスパイラルに陥ります。しかし、社員一人ひとりの長所が引き立つ会社は、比較がなく関係性も良いのでみんな仲がいい、社員同士の連携がしやすい。スポットライトを“常に”ではなく、“定期的に”みんなを照らせる会社にしたいと思います。それもあってうちは何かを決めたり、考えたりする時は“みんなで”が基本線なので、ある意味面倒くさい会社かもしれませんね。(笑)
また、事業としては現在の人材派遣業と人材紹介、求職者支援訓練事業(アイテックパソコンスクール)を主としていますが、企業理念に沿った内容で多角化していきたいと考えています。具体的にはこれからですが「お客様に必要とされる会社」をイメージした時、現在の法人向けサービスの他に、個人向けサービスも私たちの強みを活かせるところがあるのではないかと感じています。サービス業は「価値を感じて頂けないと対価は頂けない」のが本質です。この点については「是が非でも満足していただきたい」と成果にこだわるのが私たちの理念にもあることから、事業の多角化に自信を持ってすすんで参ります。

Q. 大切にしていることは?

うちの会社は「みんなで」「チャレンジ」「貢献」を大切にしています。 「みんなで」は、経営者や上長が何かを決めるのではなく、考えたり決めたりする段階からみんなで話し合うことを大切にしています。それだけにイベント事もみんなでやることが多いので、ほぼ毎月何かしらやっている気がします。(笑)
「チャレンジ」することを大切にしているのは、どの会社も同じだと思いますが、20代、30代が多い会社として、価値を増大する工夫と失敗を恐れずに立ち向かう勇気を培っていきたいと思っています。
最後の「貢献」は、ビジネス上の損得で考えたり計るのではなく、まず目の前の人に貢献する一心で動くことを大切にしています。短期的に見ると「なんで?」と思うこともあるかもしれませんが、継続していくことで数値などで測れない「想い」が伝わることも、サービス業の醍醐味だと感じています。

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