正社員とよく対比される非正規雇用には、どのようなものが含まれているのか詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか?
働き方を見直したい場合には、それぞれの雇用形態の特徴を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、非正規雇用がなにかを知りたい方向けに、雇用形態の種類や特徴を紹介します。
非正規雇用で働くメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

非正規雇用とは?

非正規雇用とは、正規雇用以外の雇用形態を指し、基本的には契約期限のある有期雇用のことです。

ただし、有期労働契約が更新されて通年5年を超えたときには、無期限での労働契約に転換できる「無期転換申込権」が発生する場合もあります。
非正規雇用は、主に正規雇用の対比としてよく使われる言葉ですが、実は明確な定義があるわけではありません。

正規雇用の定義が「直接雇用である」「雇用期間の定めなし」「フルタイム」の3つであるため、これらの条件に該当しない雇用形態が非正規雇用と考えるとよいでしょう。
2021年時点では、非正規雇用の割合は労働者全体の3分の1を占めており、近年では45~54歳の年代と65歳以上の非正規雇用者が増えています。

非正規雇用の種類

非正規雇用は、企業によって採用している雇用形態が異なります。
ここからは、主な5つの雇用形態の特徴を紹介します。

種類①契約社員

契約社員とは、雇用主である企業との間であらかじめ決められた勤続年数で労働をするという、契約をした社員のことです。

正社員との大きな違いは、有期雇用であるかどうかです。
正社員は契約期間がないため、無期雇用として定年退職をするまで同じ会社で働くことが可能です。

対して非正規雇用は、働き方自体は正社員と同じではあるものの、契約期間が限られています。
契約期間が満了を迎える際、雇用主側から契約更新もしくは契約終了のどちらかが伝えられます。

ただし、契約を5年以上継続した場合は、勤続年数に制限のない無期契約社員への転換も可能です。
また、企業によっては正社員であれば受けられる福利厚生が、契約社員だと受けられないことやボーナスが設定されていないこともあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

種類②派遣労働者

派遣労働者とは、派遣会社が企業に労働者を派遣し、労働者は派遣先企業の指示に従って業務を行う雇用形態のことです。

派遣会社と派遣先企業の2つが関与する雇用形態であることから、厚生労働省によって「労働者派遣法」という派遣労働者に関する法律が定められています。
記載されている主な内容は、トラブルが起こった場合に派遣会社と派遣先企業のそれぞれに、どのような責任があるのかといったことなどが挙げられます。

また、正社員との大きな違いは、雇用主が異なるという点です。

正社員は、雇用先の事業主によって無期雇用をされていますが、派遣労働者はあくまでも派遣会社が事業主となっているため、契約期限のある有期雇用です。
そのため、契約期間を満了するタイミングで更新されずに契約が終了となる可能性があり、不安定な雇用であるともいえます。

しかし、労働契約の通算契約期間が5年以上になると、無期雇用として派遣会社に転換を申し込むことができます。

種類③パートタイム労働者

厚生労働省によると、パートタイム労働者は以下のように定義されています。

管理の改善等に関する法律」)の対象である「短時間労働者(パートタイム労働者)」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。

引用:厚生労働省「パートタイム労働者とは

1週間のうちの労働時間が短いことから、短期間での労働に適した雇用形態です。
また、パートタイム労働者にも契約期間が通算5年以上になった場合は、無期限で雇用される無期転換ルールが適用されます。

パートタイム労働者に対して「パートタイム労働法」が定められているため、事業主はパートタイム労働法を遵守した雇用を行わなければなりません。

また、労働時間の違いから基本的に契約社員は月給制であることに対し、パートタイム労働者は時給制であることが多いです。

種類④嘱託社員

嘱託社員とは、定年退職前に働いていた企業と退職後に再雇用をする契約を結ぶ雇用形態のことです。
嘱託社員は、所属していた企業と再度雇用を結ぶかたちにはなるものの、基本的にはあらかじめ決められた契約期間内での労働を行います。

ただし、企業によって嘱託社員に対する労働時間や待遇が異なるため、嘱託社員として再雇用をした方を契約社員として扱う企業もあります。
この雇用形態は、優秀な社員に対して退職後も能力や技術を再度会社に生かしてほしい、という場合に用いられることが多いです。

種類⑤臨時社員

臨時社員は、具体的な定義はないものの、正社員よりも比較的短い期間で労働する社員を指します。

企業によって臨時社員の定義はさまざまであり、契約社員やパートタイム労働者、嘱託社員などを臨時社員と呼ぶ場合もあります。
そのため、労働時間や給与などの契約条件も、契約を結ぶ企業によって変わることが特徴で、社員よりもある程度自由な働き方ができる傾向があります。

非正規雇用のメリット

さまざまな雇用形態がある非正規雇用には、主に3つのメリットがあります。
それぞれの特徴を詳しく紹介します。

メリット①ライフスタイルに合わせられる

非正規雇用は、ライフスタイルに合わせて働き方を変えられるというメリットがあります。

たとえば、勤務の曜日を限定することや残業をしないことなど、自分の優先させたいことを中心に会社を選べます。
たとえば、子育てや資格取得など、仕事よりも優先したいものがある場合には非正規雇用での働き方がおすすめです。

また、ほとんどの非正規雇用では副業が禁止されていないので、別の仕事との両立もできます。
逆に、現在正社員として働いている企業とは別に、副業で非正規雇用の契約をすることも可能です。

メリット②責任を伴わない仕事が多い

基本的に、非正規雇用の仕事は正社員に比べて、大きな責任を伴わないものが多いです。
仕事に対して責任を負わなくてもよいことがほとんどであるため、気軽に業務に取り組めるというメリットもあります。

仕事に対する気持ちが強く、張り合いのある業務がよいという方には、少し物足りないかもしれませんが、その分自分の力量に合わせて業務を行えます。
責任を伴わない業務は、精神的なストレスやプレッシャーを負うことも少ないため、ライフスタイルを重視したいという方には大きなメリットだといえるでしょう。

メリット③転勤や異動の可能性が少ない

非正規雇用は正社員に比べて、転勤や異動の可能性が少ないです。
なぜなら、非正規雇用はあくまで短期雇用を目的とする雇用形態なので、基本的に転勤や異動を命じられることがないためです。

企業側が雇用契約を結ぶ段階で勤務地を指定している場合には、企業側から転勤や異動を言い渡すことはできません。
家庭の事情で、勤務地をできるだけ変更したくないという方におすすめです。

非正規雇用のデメリット

非正規雇用には、ライフスタイルに合わせて同じ勤務地で長く働けるというメリットがある一方、デメリットもあります。
働き始めたあとのトラブルを防ぐためにも、デメリットも知っておきましょう。

メリット①収入が安定しない

非正規雇用には、正社員と比較すると収入が安定しないというデメリットがあります。
契約期間が決まっている非正規雇用として同じ職場で働きつづける場合には、契約期間を満了するたび に更新をしてもらわなければなりません。

しかし、契約の更新が確約されているわけではないため、更新されない場合には新しく雇用先を見つける必要があります。
正社員のように、安定した収入が保証されているわけではなく、失業するリスクが伴うことはあらかじめ押さえておきましょう。

デメリット②キャリアアップがしづらい

非正規雇用は、正社員に比べて任される仕事の責任が軽い分、キャリアアップがしづらいこともデメリットの1つです。

非正規雇用で働きつづけても昇進や昇給がないため、職場における地位が上がることはほとんどありません。
仕事をするうえでキャリアアップを重視したい方は、非正規雇用ではなく正社員を目指すことをおすすめします。

デメリット③転職で不利になりやすい

非正規雇用の経歴がある場合、転職をする場合に不利になる可能性があります。
非正規雇用は、任される業務の責任を伴わないことが多く裁量権も与えられていないことから、キャリアの評価がされにくい傾向があります。

もし、面接官がキャリアを重視している場合には、正社員の経歴をもつ方のほうがよいと判断されるかもしれません。
また、非正規雇用としての経歴が長いほど、責任能力が低いと判断されることもあるため、注意しましょう。

非正規雇用の現状と問題点

最後に、非正規雇用の現状と問題点を紹介します。

厚生労働省の”正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移 ”によると、2010年以降に増加傾向であった非正規雇用労働者数が、2020年以降には減少していることが分かりました。

一方で、65歳以上の非正規雇用労働者の割合は年々増加しており、2021年には全体の割合のうち19.1%を占めています。
このうち、「不本意ではあるが、事情により非正規雇用である」という方は全体の10.7%を占めており、非正規雇用のうち10人に1人が不本意非正規雇用です。

このような現状になっている主な問題点は、契約期間と低賃金の2つです。
非正規雇用は、基本的に雇用期間が定められている有期雇用であるため、契約の更新がされなかった場合には新たな就職先を探さなければなりません。

しかし、年々キャリアを重視する企業が多くなっているなかで、どうしても契約社員でしか雇用契約を結べないという方も多々います。
5年以上の契約更新がなければ、無期雇用もしてもらえないので失業してしまうリスクが高くなっていることが現状です。
そのため、不本意非正規雇用者の多くは、契約期間の更新がされるのかどうかを不安に感じています。

また、 収入が安定している正社員と比べて、非正規雇用は低賃金であることも問題です。
正社員の平均賃金が時給換算で1,994円であることに対して、非正規雇用の平均賃金は1,171円であるため、約800円もの差があることが分かります。
賃金だけでも、正社員との格差が大きいことは問題であるといえるでしょう。

非正規雇用の雇用形態には主に5種類の働き方がある

いかがでしたでしょうか?

非正規雇用とは、正規雇用以外の雇用形態の総称を指します。
主な雇用形態としては5種類あり、企業によって採用している雇用形態が異なります。

非正規雇用には、転勤や異動がない状態で、ライフスタイルに合わせられて大きな責任を伴わない仕事ができるというメリットがあります。
一方で、収入が安定せずキャリアアップができないことや、非正規雇用の経歴が長いと転職で不利になる可能性があることは押さえておきましょう。

前の記事
チョコの意外な効果♪
次の記事
こだわりのいちご大福♪